車内に合わせた棚車を短時間で作りたい人向けに、設計から組み立て、仕上げまでをわかりやすくまとめました。初心者でも取り組みやすい順序とポイントを中心に、必要な部材や工具の目安、強度チェックや車内固定の工夫まで丁寧に解説します。まずは小さく試して感触をつかむことを勧めます。
イレクターパイプで棚車の作り方を最短で覚えるコツ
短時間で組めるコツは、設計をシンプルにし、作業工程を固めることです。まずは全体像を把握してから作業を始めると効率が上がります。無駄な切断ややり直しを減らすために、必要最小限の部材で試作を作ることも有効です。
作業前に寸法と想定荷重を決め、必要部材を一度に用意しておくと途中で買い出しに行く手間が省けます。切断はまとめて行い、ジョイントの取り付け順を頭に入れてから組むと時間短縮になります。組み立て時は仮組みをして合いを確認してから本締めに移ると失敗が減ります。
工具や作業場所を予め整えておくことも重要です。作業台やクランプがあるとパイプの切断や面取りが楽になります。組み立ては二人いるとパーツの支持がしやすく、安全に作業できます。
最終的に、最初は小さめの棚車を作って動作確認を行い、問題なければ同じ要領で本番サイズに移ると効率的です。
短時間で組める手順の全体像
初めに図面とパーツリストを作り、作業を段取り化します。パイプの切断→ジョイント取り付け→土台組み→縦桟設置→棚板取り付け→キャスター取り付け→最終チェックの順で進めると無駄が出にくいです。
切断はまとめて行い、切断面は面取りしておくと組み付けや仕上げがスムーズになります。ジョイントはゆるめに仮締めしてから全体の高さや直角を確認し、問題なければ順に本締めします。棚板は最初に仮置きして高さやクリアランスをチェックしてから固定すると調整が楽です。
作業を効率化するために、ネジの種類やワッシャーを予め袋ごとに分けておくと、取り出し時間を短縮できます。作業は平らで広い場所を確保し、必要なら養生シートを敷いて車内を汚さないようにします。最後に荷重を少しずつかけて強度とガタを確認し、問題があれば補強を追加します。
必要な費用の目安
費用はサイズやパーツの品質で変わりますが、小型の棚車ならおおむね1万円〜3万円、中型で3万円〜6万円、大型や高耐荷重仕様だと6万円以上が目安です。安価なパイプとジョイントを選べばコストは抑えられます。
内訳の例としては、イレクターパイプ本体、ジョイント類、棚板、キャスター、ネジ類、塗料や保護材が挙げられます。工具を既に持っている場合は費用を大きく抑えられますが、簡易的な切断工具やドリル、クランプを新規購入すると数千円〜1万円程度の追加が想定されます。
品質優先でステンレスや高耐荷重のジョイントを選ぶとコストは上がりますが耐久性が向上します。まずは用途と頻度を考え、必要な強度に合わせて材料を選ぶと無駄が少なくなります。
最小限でそろえる部材リスト
小さく作る場合の最小構成は以下の通りです。
- イレクターパイプ(長さ数本)
- 直角ジョイント×数個
- 棚板(合板や樹脂板)
- キャスター(ストッパー付き推奨)×4
- ネジ・ボルト類、ワッシャー
- ゴム脚・緩衝材(内装保護用)
これらでシンプルな棚車が作れます。ジョイントは用途に応じてT字やクロスを追加すると安定性が増します。棚板は軽さ重視なら樹脂、耐荷重重視なら厚手の合板を選ぶと良いでしょう。
工具は基本の切断工具、ドリル、スパナや六角レンチがあれば事足ります。最小限の構成でも固定方法や補強を工夫すれば車載に耐える強度を確保できます。
安全に使うための強度チェック方法
組み立て後はまず目視で接合部の隙間やねじの緩みを確認します。次に段階的な荷重試験を行い、軽い荷物から順に重さを増やして様子を見ます。最初から最大荷重をかけないことが重要です。
揺れやガタつきを調べるために手で押して横方向の動きを確認します。キャスター取り付け部やジョイント周辺にひび割れや変形があれば使用を中止して補強してください。荷重試験の際は車内に人が乗らない状況で行い、安全に配慮します。
最後に走行中の振動を想定して固定具のチェックを行い、ベルトやアンカーで確実に固定できるか確認します。問題があれば補強材や追加の固定ポイントを設けると安心です。
車内で使いやすくする工夫ポイント
車内での使い勝手を高めるコツは出し入れのしやすさと動作範囲の確保です。棚の高さを座席や床面の動線に合わせ、よく使うものは手の届く位置に配置すると便利です。
キャスターはロック機構付きが便利で、取り外しや畳みを想定するならジョイントを外しやすくしておくと積み下ろしが楽になります。棚の端に滑り止めを付けると走行中のズレを抑えられます。
頻繁に出し入れする物は前面を開けるか引き出し式にするなどアクセスを工夫してください。照明や小物入れを追加すれば夜間や細かな収納にも対応できます。
設計とサイズの決め方で車にぴったり合わせる
トランクや床の寸法を正確に把握し、棚を想定荷重に合わせて設計すれば車にぴったり合う棚車が作れます。設計段階で取り外しや運搬のしやすさも考慮することが大切です。
トランクや床の採寸のポイント
採寸時は荷室の幅・奥行き・高さをメジャーで測り、座面の段差やホイールハウスの出っ張りも記録します。シートを倒す場合は倒した状態の高さも測定しておきます。
角は直角になっていないことが多いので、斜め部分や傾斜もチェックします。床面の凹凸や固定フックの位置を図面に書き込み、干渉しない取り付け位置を決めてください。
測定は複数箇所で行い、平均的な数値を採用すると無駄なクリアランスを避けられます。採寸後には紙に簡単な図を描いて要確認ポイントを明記すると工程がスムーズになります。
想定荷重で高さと奥行きを決める
棚の高さと奥行きは収納する物の大きさと重さを基準に決めます。重い物は低い段に配置することで重心が下がり安定性が高まります。
荷重に余裕を持たせ、各棚ごとの最大耐荷重を見積もって設計してください。奥行きは物が落ちない程度のマージンを確保し、前面にストッパーを付けることも検討します。固定方法や補強位置も荷重に合わせて配置します。
総合的にバランスを取ることで走行時の揺れや荷崩れを抑え、安全に運用できます。
収納する物に合わせた棚間の設定
棚間は収納する物の高さに合わせて設定します。工具やボックス類は高さに余裕を持たせ、板や長尺物は立てても入る奥行きを確保します。
頻繁に出し入れする物は上段中央に配置し、重さのある物は下段に集約してください。調節可能な棚板を採用すると用途変更時に対応しやすく、汎用性が高まります。
棚の前面にネットやフックを設けると小物の落下防止や整理に役立ちます。使い勝手を考え、実際の出し入れ動作をイメージして高さ設定を行ってください。
車種別に注意する点
ステーションワゴンやミニバンは床面が広く高さも取れるため大きめの棚が入りますが、荷室の段差やシートレールの位置に注意が必要です。軽自動車はスペースが限られるためコンパクトな設計が求められます。
SUVやオフロード車は床高が高く、重心管理を特に気にする必要があります。四駆走行時の横揺れを想定して固定を強化してください。輸入車や特殊車は内装の形状が独特な場合があるので採寸を念入りに行ってください。
簡単な図面の書き方
まず車内の平面図と側面図を描き、主要寸法と障害物の位置を書き入れます。棚の外形と棚ごとの高さを記入し、主要な固定ポイントを明示してください。
寸法はミリ単位で書く必要はなく、誤差を含めた余裕を図面に反映します。図面はA4用紙1枚にまとめると現場で使いやすく、部材リストと照らし合わせながら作業すると失敗が減ります。
材料と工具の選び方をわかりやすく
材料は耐荷重や耐候性、見た目を基準に選ぶと長く使えます。工具は安全に作業できるものを揃えてください。品質と予算のバランスが重要です。
イレクターパイプの太さと材質の選び方
イレクターパイプは太さで強度が変わります。軽量の用途なら細め、重い荷物を載せる場合は太めを選ぶと安心です。材質はスチールが一般的でコスト性能が良く、ステンレスは耐食性に優れます。
使用頻度や保管環境で選ぶと失敗が少ないです。海辺や湿気の多い場所で使うなら錆びにくい材質を優先してください。太さの選定は棚のスパン(支間距離)と荷重から逆算すると分かりやすいです。
ジョイントパーツの種類と使い分け
直角ジョイントは柱と棚の基本構造に、T字やクロスは強度確保や分岐に使います。可動式のジョイントは調整に便利ですが、振動には緩みやすい点に注意します。
荷重のかかる接合部には金属製で強度の高いジョイントを使い、見た目を整えたい箇所はカバー付きのタイプを選ぶと良いでしょう。用途に合わせてジョイントを使い分けることで全体の剛性が高まります。
棚板の素材と耐荷重を考える方法
合板はコストと強度のバランスが良く、厚みを増せば耐荷重が上がります。樹脂板は軽くて水に強い反面、長尺でたわみやすいので補強が必要です。金属板は高耐荷重ですが重くなります。
棚板の厚みと支持間隔からたわみを計算し、必要なら補強桟を入れてください。重い物を置く場所は二重支持にするなど局所強化を行うと安全性が高まります。
必須の工具と使い方の目安
基本工具は以下がおすすめです。
- 金属用の鋸またはパイプカッター
- 電動ドリル(ネジ穴あけ、タップ用)
- クランプ数個(仮固定用)
- 六角レンチ・スパナ類
- 面取り用ヤスリ
切断はしっかり固定してから行い、ドリル作業は低速で中心を外さないよう注意してください。安全メガネや手袋も用意して作業中のケガを防ぎます。
キャスターや金具の選び方
キャスターは耐荷重とロック機能に注目してください。走行時に車内で動かしたくない場合はストッパー付きが便利です。金具は荷重がかかる箇所は高強度タイプを選ぶと安心です。
取り付けネジは長さと太さを適切にし、必要なら補強プレートを介して力が分散するようにします。回転部には固着防止のグリスを少量塗ると長持ちします。
防錆や見た目の仕上げ材
スプレー塗装やラッカーで表面を保護すると錆びにくくなります。サビ止めプライマーを先に塗ると効果が高まります。見た目を整えたい場合はカバーキャップや塗料色を統一すると仕上がりが良くなります。
屋外で使うことが多い場合は耐候性のある塗料を選び、塗装前に脱脂と足付けを行って密着を良くしてください。
組み立ての手順を段階ごとに解説
組み立ては順序を守れば失敗が少なくなります。仮組みと段階的な本締めで精度を出し、最後に荷重確認を忘れずに行ってください。
パイプの切断と面取りのコツ
切断は片持ちにならないよう両端を支持して固定し、ゆっくり切ることが大切です。切断面はバリが出やすいのでヤスリで面取りし、手やジョイントを傷つけないようにします。
長さは採寸時の図面に従い、少し余裕を残す場合は現地で微調整できるようにしておくと便利です。切断後は寸法を再確認してから組み立てに進んでください。
ジョイントで土台を組む順番
まずは底面の枠を作り水平を確認します。四隅を仮固定し、対角線の長さが等しいかで歪みをチェックします。問題なければジョイントを順次本締めして剛性を出します。
土台は安定性の要なので、ここで直角と水平をしっかり出すことが後工程を楽にします。必要なら仮止めネジと本締めネジを使い分けて調整してください。
縦桟と棚板の取り付け方法
縦桟は土台に対して垂直を確認しながら取り付けます。高さを揃えるためにクランプや定規を使うと精度が出ます。棚板は仮置きして位置を確認し、問題なければビスやボルトで固定します。
棚板の取り付け位置は前後のクリアランスを確認しておくと収納時に干渉が起きません。重い棚板は補助を使って安全に固定してください。
板の固定と補強の手法
板の固定はビスやボルトでしっかり行い、特に重荷重部は補強桟を追加します。ネジ頭が面でかかるようにワッシャーを使うと抜けにくくなります。
長尺の棚板はたわみ防止に中間支点を設けると効果的です。金属のL字金具を使って隅部を補強すると剛性が高まります。
キャスターの取り付けと固定方法
キャスターは四隅に均等に配置し、取り付け面が平坦であることを確認します。取り付けネジは所定のトルクで締め、必要なら裏側に補強プレートを入れて力を分散させます。
ストッパー付きのキャスターを選ぶと車内での固定が容易です。走行中の負荷を想定して増し締めを行い、緩み止め剤を使うと安心です。
塗装や保護処理のやり方
塗装前にパーツの脱脂とサンドペーパーでの足付けを行います。プライマーを塗ってから本塗装を行うと耐久性が上がります。薄く複数回に分けて塗ると垂れを防げます。
塗装後は完全に乾燥させ、必要ならクリアコートを追加して表面を保護してください。塗装は風通しの良い場所で行い、適切な防護具を使用します。
完成後に確認するチェックリスト
- ネジやジョイントの緩みがないか
- 各棚の水平と垂直が保たれているか
- キャスターのロックが確実に効くか
- 荷重テストで変形や異音がないか
- 内装への干渉や傷がないか
これらを確認して問題がなければ実際に載せて短距離走行で安定性を確認してください。
車内への固定と使い勝手を高める工夫
車内で安全に使うには確実な固定と振動対策が重要です。撤収や保管のしやすさも考えて設計すると便利です。
シートやフロアへの固定例
固定はシートベルトアンカーやシートレールのボルト穴、床のフックを利用すると堅牢になります。フック位置が使えない場合はアンカープレートを取り付けて対応する方法もあります。
床面に固定する際は内装を傷めないようゴム板やパッドを介して荷重を分散させてください。取り外しが必要な場合はクイックリリース式の金具を使うと便利です。
ベルトやアンカーを活用する方法
ラチェットベルトや固定ベルトを使って棚を車体に締め付けると横方向や前後の動きを抑えられます。アンカーは強度のある位置に取り付け、ベルトでテンションをかけます。
走行中に緩みが出やすい場所には増し締めを行い、ベルトの摩耗を定期的にチェックしてください。ベルトは反復使用に強い素材を選ぶと長持ちします。
振動やガタつきを減らす対策
接合部に緩衝材やゴムワッシャーを入れると振動が伝わりにくくなります。ジョイントのクリアランスが大きい場合は薄手のゴムシートで調整するとガタが減ります。
棚板の裏に滑り止めシートやスポンジを貼ることで物の滑動を抑えられます。全体の剛性が不足している場合は斜めの補強バーを入れると振動が減ります。
内装を傷めない保護方法
接触部にはフェルトやゴムパッドを貼り、金属同士が直接当たらないようにします。取り付け時は内装表面を養生テープで保護すると傷を防げます。
重量が集中する部分には広い面で荷重を受けるよう板やゴムを介して内装へのダメージを避けてください。
取り外しと保管の工夫
分解しやすいジョイント構成にしておくと車外での保管や交換が楽になります。パーツごとに袋やラベルを付けて整理しておくと次回組み立てが速くなります。
折りたたみ式や分割式の設計にしておくと狭い収納スペースにも収めやすく、運搬時の負担が減ります。
車検や安全面での注意点
車検に影響する固定方法は避け、内装に永久的な加工を加える場合は事前に確認してください。過度の改造や構造変更は法規上の問題になることがあります。
走行中に視界を妨げない配置にし、非常時に取り外して脱出経路を確保できることも確認してください。
まずは試してみよう イレクターパイプで棚車を作る第一歩
最初は小さな試作を作って素材感や手順を確認しましょう。短時間でできるミニサイズなら失敗しても手間が少なく、改善点が見つけやすいです。
試作で問題がなければ同じ手順で本番サイズに展開し、必要に応じて強度や固定方法を強化してください。まずは一歩踏み出して手を動かすことが成功への近道です。

